「看護師を辞めたい」……その悩み、あなただけではありません。
「今日もまた、重い足取りでナースステーションへ向かっている」 「ミスが許されない緊張感と、終わらない残業に心身が削り取られそう」
今、この記事を読んでいるあなたは、そんな限界に近い状態にいるのではないでしょうか。看護師は命を預かる尊い職業ですが、それゆえのプレッシャーや不規則な生活、複雑な人間関係に悩み、「もう病棟を離れたい」と考えるのは、決して甘えでも逃げでもありません。
しかし、いざ転職を考えても「病棟以外で自分に何ができるのか」「年収やキャリアはどうなるのか」という不安がブレーキをかけ、結局我慢を選んでしまう方が多いのも事実です。
本記事では、看護師の皆さんが抱えるリアルな離職理由を整理し、最新の離職率データや、病棟以外でも資格を活かして自分らしく働ける「具体的な選択肢」を徹底解説します。今の苦しみを解消し、あなたが笑顔を取り戻せる「次の場所」を一緒に見つけていきましょう。
看護師を辞めたいと思う理由とは?
多くの看護師が一度は「辞めたい」と悩みます。それは決してあなたの責任感不足ではなく、労働環境に原因があることがほとんどです。

ミスできないプレッシャーがきつい
看護業務は常に患者さんの生命に直結しており、一瞬の油断も許されません。投薬や点滴の準備、バイタルサインのわずかな変化への対応など、どれほど経験を積んでも「もしミスをしたら」という恐怖心が消えることはありません。
このプレッシャーが毎日続くことで、心が休まる暇がなくなり、精神的な限界を迎えてしまうのです。特に責任感が強く、真面目な看護師ほど、この重圧を一人で背負い込み、心身をすり減らしてしまう傾向があります。
「責任の重さに耐えられない」と感じるのは、それだけ誠実に命と向き合ってきた証でもあります。
職場の人間関係が良くない
ナースステーションという閉鎖的な空間では、独特の人間関係がストレスの火種になりがちです。
多忙ゆえに余裕がなく言葉が鋭くなる先輩や、理不尽な指導を繰り返すお局様の存在、さらには他職種との板挟みなど、コミュニケーションの悩みは絶えません。
チーム医療とは名ばかりのギスギスした空気の中で、常に周囲の顔色を伺いながら働く日々は、看護への情熱を奪うのに十分な理由となります。一度こじれた人間関係を修復するのは難しく、「この環境から抜け出したい」という切実な思いが、離職を検討する最大の動機になることも少なくありません。

休暇が取れない
人手不足が続く現場では、有給休暇の取得どころか、公休を希望通りに取ることすら難しいのが現状です。年間休日が確保されていたとしても、実際には勉強会や委員会活動、研修などで休日がつぶれてしまうことも珍しくありません。
「急な体調不良でも休みにくい」「冠婚葬祭ですら調整が大変」という環境は、心身のリフレッシュを妨げる大きな要因です。友人や家族と予定が合わず、プライベートを犠牲にし続けることで、「何のために働いているのか」という虚無感に襲われ、ワークライフバランスを重視できる職場への憧れが強まっていくのです。
理想の看護ができない
「患者さん一人ひとりに寄り添いたい」という志を持って入職しても、現実は想像以上に業務に追われてしまいます。検温、処置、検査出し、食事介助、排泄介助、そして終わりの見えない記録業務に追われ、患者さんとゆっくり会話したり、患者さんに合わせた看護をする時間はほとんど確保できません。
ナースコールが鳴り響く中で「ちょっと待ってください」と繰り返す日々に、自分が機械的にタスクをこなすだけのロボットのように感じてしまう方も多いでしょう。本来やりたかった看護と、効率重視の現場という現実のギャップに悩み、無力感を感じることで、「ここでは自分の目指す看護ができない」と確信するようになります。
夜勤がつらい、生活リズムが合わない
2交代や3交代のシフト勤務は、想像以上に身体にダメージを与えます。
夜勤明けのフラフラな状態で家路につき、昼間に無理やり眠る生活を続けると、自律神経が乱れ、慢性的な頭痛や倦怠感、睡眠障害に悩まされるようになります。また、世間が休んでいる週末や祝日に働き、平日に休むリズムは、家族や友人と予定を合わせることが難しいです。
ライフステージの変化に伴い、育児や家事との両立を考えた際、夜中に家を空ける負担は増大します。「長く働き続けたいけれど、今の体力と生活リズムでは一生続けるのは無理だ」と悟った時、日勤のみの働き方を切望するようになります。

業務量に対して給与が安い
看護師の給与は他職種と比較して高いと言われることもありますが、その内訳の多くは夜勤手当や残業代です。
命を預かる重い責任、多忙を極める業務内容、そして休日返上の勉強会など、目に見えない労働コストを考えると、決して十分な報酬とは言えません。
特に、前残業も含めたサービス残業が常態化している職場では、時給換算すると驚くほど低くなることもあります。昇給額もわずかであるため、将来的な年収アップが見込みにくいという現実もあります。「これほど身を削って働いているのに、これだけしかもらえないのか」という徒労感が、仕事への意欲を削ぐ一因となります。
| 看護師を辞めたい主な理由 | 悩み | 対処法 |
|---|---|---|
| プレッシャー・責任重感 | 命を預かる重圧、ミスへの恐怖で精神的に疲弊している | 休暇を取る。一度現場を離れて心身を休める。責任の重さが異なる職場(保育園・企業など)を検討する。 |
| 職場の人間関係 | 厳しい先輩や医師との関係、閉鎖的な空間でのストレス | 同期に相談する。上司に部署異動を相談する。 |
| 休暇が取れない | 人手不足で有休が使えない、プライベートを犠牲にしている | 上司に勤務体制の改善を直訴する。それでも変わらなければワークライフバランスの整った職場へ転職を検討する。 |
| 夜勤・生活リズムの乱れ | 不規則なシフトで体調を崩している、家族と時間が合わない | 外来への異動をする。美容クリニック・検診センターなど日勤固定の職場へ転職する。 |
| 理想の看護とのギャップ | 業務過多で作業的になり、患者に寄り添う時間が持てない | 自分が何を大切にしたいかを整理し、個別ケアが可能な訪問看護や慢性期、クリニックへ転職する。 |
| 給与・待遇への不満 | 責任や業務量に対して基本給が低い、サービス残業が多い | 夜勤なしでも高収入を狙える美容クリニックや、年収水準の高い企業看護師(フィールドナース)への転職をする。 |
看護師の離職率はどれくらい?
日本看護協会が発表した「2024年病院看護実態調査」によると、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%となっており、前年度(11.8%)と比較して0.5ポイント改善しています。
一時はコロナ禍の影響もあり離職率が上昇傾向にありましたが、現在は概ねコロナ禍前の水準(2019年度:11.5%)まで落ち着きを取り戻しつつあります。

新卒と既卒の大きな差
採用区分によって離職率には大きな開きがあります。
- 新卒採用者(8.8%): 2年ぶりに10%台から8%台へと大幅に改善しました 。コロナ禍で実習が制限された時期を経て、教育体制やサポート体制が再び整い始めたことが要因の一つと考えられます。
- 既卒採用者(16.1%): 正規雇用の平均や新卒と比較して、依然として高い水準にあります 。即戦力として期待される反面、職場環境とのミスマッチや期待される役割の重さが離職に繋がりやすい傾向があります。
病院の規模や経営母体による傾向
就業場所の条件によっても、離職のしやすさは変わります。
- 病院規模: 一般的に、病床数が多い大規模病院ほど離職率が低い傾向にあります。400床以上の病院では正規雇用の離職率は10.4%ですが、99床以下の小規模病院では12.6%となっており、福利厚生や教育体制の充実度が影響していると推測されます。
- 設置主体: 経営母体別では、国立病院(10.2%)や公立病院(10.8%)が比較的低く、医療法人(14.4%)や個人病院(12.1%)では高くなる傾向が見られます。

離職を防ぐための新たな動き
現在、約4割の病院が「短時間勤務正職員」や「職務限定正職員」といった多様な働き方を導入しています。これらの制度を導入した病院の多くが「ワーク・ライフ・バランスの確保」や「個々の生活事情を理由とした退職者の減少」に効果があったと回答しており、無理なく働き続けられる環境作りが進んでいます。
「辞めたい」と感じたときは、今の自分の状況が業界全体の平均と比較してどうなのかを客観的に把握することも大切です。
もし今の職場の離職率が極端に高く、労働環境の改善が見込めない場合は、統計的にも離職率が低く安定している大規模病院や、多様な働き方を認めている職場を検討することが、長くキャリアを築くための有効な手段となります。
看護師を辞めたくてもやめられない理由は?
辞めたいという思いがありながら踏み出せないのは、周囲への気遣いや将来への不安があるからです。
「今辞めたら職場に迷惑がかかる」「奨学金の返済がある」「せっかく取った資格を無駄にしたくない」といった心理的・経済的なブレーキが、あなたを今の場所に留めています。
しかし、一番大切なのは「あなたの人生」です。自分を守るために、まずは以下のステップを検討してみてください。
看護師を辞めたいと思ったときの対処法
限界を感じたら、まずは立ち止まり現状を客観視しましょう。
即座に辞めるのではなく、自分を責めずに頑張りを認めることが大切です。まずは心身を休め、苦しみを和らげる具体的な行動を一つずつ試すことが、納得のいく未来を選ぶ第一歩となります。
なぜ辞めたいのか理由を明確にする
まずは、モヤモヤとした気持ちを言語化してみましょう。
不満を「人間関係」「労働時間」「仕事内容」「給与」などの項目に分けて書き出してみてください。理由を明確にすることで、解決策が「今の職場での調整」で済むのか、「転職して環境を変える」必要があるのかがはっきりします。もし、どの病院に行っても避けられない理由(例えば医療行為自体への恐怖など)であれば、病院以外の職種を探すという方向性が見えてきます。
自分軸で「これだけは譲れない」という条件を整理することが、次のキャリア選びで失敗しないための最も重要なポイントです。
上司や先輩に相談する
今の悩みが業務量や担当部署のミスマッチにある場合、師長や信頼できる先輩に相談することで事態が好転することがあります。
夜勤の回数を減らしてもらったり、プリセプターとの相性を考慮してもらったりといった、組織内での調整が可能なケースもあるからです。相談しても改善されない職場もありますが、「一度は相談した」という事実が、のちの退職交渉をスムーズにする材料にもなります。
経験豊富な先輩から「自分も同じ時期に悩んでいた」という共感を得られ、気持ちが楽になることもあるでしょう。まずは、現状を組織として把握してもらうことが重要です。
同期に悩みを打ち明ける

同じ時期に入職し、同じような苦労を分かち合ってきた同期は、最高の理解者です。
上司には言えない本音や、現場のリアルな不満を共有できる存在がいるだけで、精神的な孤立を防ぐことができます。「自分だけができない」と思い込んでいたことも、同期と話すことで「みんな同じなんだ」と視点が変わるかもしれません。
また、同期が他の病棟の様子を知っていれば、自部署がいかに特殊であるかといった客観的な比較も可能になります。愚痴をこぼし合える場所があることは、ストレスフルな環境を生き抜くための大切なセーフティーネットになります。
部署異動を検討する
「看護師の仕事は続けたいけれど、今の病棟が合わない」という場合は、部署異動を希望するのも有効な手段です。
急性期から慢性期へ、あるいは病棟から外来や手術室へ移るだけで、求められるスキルや人間関係の密度、残業時間は劇的に変わります。同じ病院内であれば、給与体系や福利厚生、有給休暇の積立などを維持したまま、環境だけをリセットできるという大きなメリットがあります。
今の病院の制度自体に大きな不満がないのであれば、まずは「場所を変えて再出発する」という選択肢を、師長との面談などで提示してみる価値は十分にあります。
休暇を取る
精神的な疲れがピークに達しているときは、正常な判断ができなくなっています。
「とにかく今すぐ消えてしまいたい」という衝動に駆られたら、まずは数日〜1週間程度のまとまった休みを取ることを最優先してください。体調不良を理由にしても構いません。
一度仕事から物理的に離れ、朝までぐっすり眠り、好きなものを食べ、看護とは無縁の世界に身を置くことで、脳の疲れが取れていきます。リフレッシュした状態で改めて今の仕事を振り返ったとき、初めて自分の本当の心の声を聞くことができます。冷静な判断を下すためには、まず休息という余白が必要です。

転職する
あらゆる対処法を試しても状況が変わらない、あるいは今の職場にいることが心身の健康を損なうと感じるなら、転職は「逃げ」ではなく「前向きな選択」です。
看護師という資格は非常に強力な武器であり、活躍できるフィールドは病院の外にも無数に存在します。現在の辛い経験を次のステップへの教訓として捉え、新しい環境でリスタートを切りましょう。
転職活動を始めるだけでも、「自分には他にも選択肢がある」という自信に繋がり、今の職場でのストレスが軽減されることもあります。あなたの技術と優しさを本当に必要としている場所は、必ず見つかります。
現場のナースが語る「病棟を離れたい」と思ったリアルな瞬間
同じ悩みを持つ看護師はあなただけではありません。置かれた環境は違えど、それぞれが抱える葛藤や限界の声をまとめました。
脳外一筋Aさんの声
専門性を守れない虚しさと、家族への違和感
新卒から12年間、脳神経外科一筋でキャリアを築いてきました。この分野の専門性を高めることに誇りを持ってきましたが、近年の病床運用には強い疑問を感じています。空き状況次第で他科の患者さんが混合入院してくることが常態化し、専門外の疾患対応に追われるたび、「私は何のためにここで研鑽を積んできたのか」と、アイデンティティが失われるような虚しさを感じています。
また、入院を「お世話の丸投げ」と捉えるご家族が多いこともつらい点です。看護師に任せきりで面会にも来ない様子を目の当たりにし、家族の愛情が置き去りにされた現場に立ち会い続けることに、一人の人間としても限界を感じています。もっと専門性を尊重され、患者さんやご家族と深く向き合える場所へ移りたいと考えるようになりました。

異動1年目Bさんの声
指導の無力感と、サービス残業に疲弊する日々
内科病棟に配属されて1年。毎日のように糖尿病患者さんへのインスリン指導を行っていますが、現実はやるせなさでいっぱいです。生活習慣を改めようとしない患者さんが多く、真剣な指導も聞き流され、退院しても不摂生で再入院を繰り返す…。そんな姿に無力感を感じ、イライラを抑えられない自分にも自己嫌悪を抱いています。
職場環境も過酷です。お局的存在の先輩の目が厳しく、一緒のシフトの日は緊張で朝から胃が痛みます。ミスを防ぐため始業の1時間以上前に出勤して情報収集を行い、日中は業務に追われ、結局記録が終わらず毎日残業。心身ともにボロボロな今の生活をあと何年続けられるのか…。自分を大切にできる働き方を求め、転職を真剣に検討しています。

ナースマンCさんの声
夜勤が奪う生活の質
精神病院に勤務して6年になります。以前いた急性期病棟に比べれば、目まぐるしい処置や走り回るような物理的な業務量は格段に少ないと感じます。しかし、看護師を10年以上続けてもどうしても慣れないのが夜勤の存在です。特に深夜帯、一晩中起き続けて神経を研ぎ澄ませる勤務は、30代を過ぎてから体へのダメージが顕著になりました。
2交代制である以上、生活リズムは常にバラバラです。休日はただ「夜勤の疲れを回復させるため」だけに眠り続け、気づけば一日が終わっている。友人や家族と予定を合わせることも難しく、ただ仕事のために体力を回復させるだけの日々に疑問を感じるようになりました。10年以上走り続けてきた今、これからは夜勤なしの規則正しい働き方にシフトし、人間らしい生活を取り戻したいと切実に願っています。

看護師を辞めるデメリット
環境を変えることはメリットばかりではありません。後悔しないために、リスクも把握しておきましょう。

収入が下がる
病棟勤務を辞め、日勤のみの職場へ転職する場合、ほぼ間違いなく月収は下がります。看護師の給与の大きな柱である夜勤手当がなくなる影響は大きく、人によっては月5〜10万円ほどの減収になることも覚悟しなければなりません。
また、大規模病院に比べて、小規模施設では賞与の月数が少ない傾向もあります。
転職を検討する際は、額面の給与だけでなく、手取り額や福利厚生、そして「減った給与分を自由な時間や健康で補えるか」という視点で、生活設計を立てることが重要です。
お金と時間のバランスをどう取るか、事前に優先順位を決めておきましょう。
キャリアがリセットされる
特定の診療科で築いてきた専門的なキャリアは、別の分野へ移ることで一旦「未経験」の状態に戻ります。
例えば、急性期の外科で培ったスキルを美容クリニックや治験コーディネーターの現場でそのまま活かせる場面は限られます。新しい職場では、自分より年下の先輩から指導を受けることもあるでしょう。一からマナーや専門知識を学び直す必要があり、その「教わる立場」に戻ることにプライドが傷ついたり、ストレスを感じたりする方もいます。しかし、看護の本質的な視点はどこでも役立つため、それをどう新しい分野に応用できるかが再スタートの鍵となります。
医療知識・技術のブランク
病棟を離れると、点滴、採血、急変対応といった看護技術に触れる機会が激減することがあります。特に、保育園やリモートナースなどの職場では、医療機器の操作自体がほとんどなくなります。数年後に「やはり病棟に戻りたい」と思ったとき、最新の医療知識のアップデートが遅れていたり、手技の感覚を忘れていたりすることに不安を感じる看護師は多いです。
いわゆる「臨床離れ」によるブランクは、再就職の際の心理的なハードルになります。技術を維持したい場合は、採血機会の多いクリニックを選ぶなど、転職先での業務内容を慎重に見極める必要があります。
病棟看護師以外のおすすめ転職先
病棟だけが看護師の居場所ではありません。あなたの専門性を活かしつつ、ワークライフバランスを整えやすい職場をご紹介します。
保険診療クリニック
街のクリニックは、病棟以外の転職先として最も一般的で人気があります。夜勤がなく、日曜・祝日が固定休であることが多いため、規則正しい生活を送れるのが最大の魅力です。
業務内容は主に採血、点滴、診察補助、検査の説明などで、高度な処置は少ないものの、地域住民と密に関わり信頼関係を築ける喜びがあります。特定の診療科(内科、耳鼻科、皮膚科など)に特化して知識を深めることも可能です。残業も少なく、定時に帰宅してプライベートを大切にしたい方に最適な環境です。病棟時代のスキルをそのまま活かしやすいのもメリットです。
美容クリニック
美容クリニックは、自由診療をメインとした美のサポートを行う職場です。接遇マナーやカウンセリング能力が重視され、病院とは異なる華やかな雰囲気があります。
夜勤がないにもかかわらず、インセンティブ(報奨金)制度を導入しているクリニックが多く、頑張り次第では病棟時代以上の高収入を狙うことも可能です。
主な業務は脱毛レーザーの照射や、美肌治療の介助、物販の提案などです。患者さんではなくお客様として接するため、高いホスピタリティが求められますが、自分自身も美容に詳しくなれるため、美容に関心の高い看護師さんに非常に人気です。
訪問診療
通院が困難な患者さんの自宅へ医師と共に訪問し、診察の補助や処置を行う仕事です。病院での治す看護とは異なり、患者さんの生活の場に入り込み、どう生きるかを支える看護が実践できます。
バイタルチェックやカテーテル管理などが主な業務ですが、ご家族との対話や療養環境のアドバイスも重要な役割となります。病棟のように多くの患者さんに対応するのではなく、一人ひとりとじっくり向き合えるため、深い信頼関係を築きたい方に適しています。
土日休みが多く、オンコールがない職場を選べば、ワークライフバランスを維持しやすいのが特徴です。
保育園の看護師・病児保育士
子どもが好きな看護師さんにとって、保育園は理想的な職場の一つです。
園児の健康管理、怪我の応急処置、感染症対策、そして保育士や保護者への保健指導が主な役割です。病院のように常に処置があるわけではなく、日常的には子どもたちの遊びを見守りながら、体調に異変がないか観察する予防の視点が求められます。
子どもたちの成長を間近で感じられるのは大きなやりがいです。基本的にはカレンダー通りの休みで、夜勤や残業もほとんどありません。医療現場の緊迫感からは離れ、温かい雰囲気の中で働きたいという方にぴったりの選択肢です。
リモートナース
近年注目されているのが、ITを活用して在宅で働くリモートナースです。
主な業務は、健康管理アプリの利用者に対するチャット相談や、電話での特定保健指導、医療系メディアの記事監修などです。身体的な介助や立ち仕事が一切ないため、体力的な負担はゼロに等しく、育児や介護と両立しながらキャリアを継続したい方にとって画期的な働き方です。
画面越しやテキストでのやり取りになるため、高いコミュニケーション能力と、論理的に説明する力が求められます。最新のヘルスケアITに触れながら、看護師の知識を情報として提供する、新しい時代の看護の形です。
フィールドナース
医療機器メーカーや製薬企業に勤務し、自社製品の普及をサポートする仕事です。
病院を訪問し、医師や看護師に対して新しい医療機器の使い方をデモンストレーションしたり、研修会を開催したりします。看護師としての現場経験があるからこそ、「臨床でどう役立つか」を具体的に伝えられるため、企業から高く重宝されます。
スーツを着て働くビジネスの場となりますが、夜勤はなく、土日祝休みが基本です。看護の専門知識を活かしつつ、プレゼンスキルなどのビジネススキルを磨き、社会的な影響力を広げたいという意欲的な方に非常に適しています。
治験コーディネーター
新薬の承認を得るための治験が適正に行われるよう、製薬会社・病院・患者さんの間に立って調整を行う専門職です。
主な業務は、治験スケジュールの管理、被験者への説明と同意取得、検査の立ち会い、症例報告書の作成補助などです。直接的な医療行為を行うことは少なくなりますが、薬学や疾患に関する深い知識、そして複雑な利害関係を調整する高度なコミュニケーション能力が磨かれます。
デスクワークや外部との打ち合わせが多く、病院とは全く異なるキャリアを形成できます。医療の進歩に最前線で貢献できる、社会的意義の大きな仕事です。
まとめ

「看護師を辞めたい」と悩む日々は、決してあなたの能力不足によるものではありません。むしろ、これまで命を預かる現場で懸命に走り続けてきた、あなたの誠実さの裏返しでもあります。
病棟という場所は、看護師の資格を活かせるフィールドの一つに過ぎません。今回ご紹介したように、クリニックや企業、保育園、さらには在宅ワークなど、病院以外の選択肢は驚くほど多様です。夜勤なし、土日休み、プレッシャーの少ない環境など、あなたが大切にしたい価値観に合わせて働き方を選び直すことは、自分らしい人生を送るための賢明な決断です。
もし今、心が悲鳴を上げているのなら、まずは自分を休ませてあげてください。そして少し余裕ができたら、病棟の壁の外に広がる新しい景色を覗いてみませんか。
あなたが笑顔で、自分らしく働ける場所は必ず存在します。一歩踏み出す勇気が、あなたのキャリアと人生をより豊かなものに変えてくれるはずです。
【執筆者情報】
[S・K] 急性期病棟や美容クリニックで10年以上の経験を持つ看護師。地元・岐阜へのUターンを機に、現在は看護師からIT分野へ異業種転職。現場の辛さを知る元ナースの視点から、看護師の新しいキャリアの可能性を発信しています。

